近隣諸国の戸籍・家族制度/自分でつくる家系図
 
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中国
  
  なんといっても、戸籍発祥の地です。
  しかしながら現在は社会体制が全くことなるので、元々の戸籍制度とは
  ずいぶん異なっているようです。
  
  戸籍制度自体の情報が判らないので、周辺の法律をみてみると、
  	民法、婚姻法、婚姻登記条例、養子縁組法、相続法
  があります。

  戸籍(戸口)は農村戸籍と都市戸籍に大きく分かれていて両戸籍間移動
  の自由がないといいます。といっても、現在そのあたりは見直しが検討
  や試行されているようです。
  
  ・成年は満18歳以上
  ・婚姻は男性満22歳以上、女性満20歳以上。
   直系血族と4親等以内の傍系血族は禁止
  ・養子は満14歳未満で、養親には子供がいない場合のみ為ることが
   でき、養子はひとりのみ持てる。
  
  日本が
  ・成年は満20歳以上
  ・婚姻は男性満18歳以上、女性満16歳以上。
   直系血族と3親等以内の傍系血族は禁止
  ・尊属や年長者は養子にできない。養親には子供の有無に関係なし。
   養子は人数制限なし。
  であるのと比べると、中国は子供の人数を増やしたくないのが、婚姻
  年齢の面にも出ていて、日本の養子制度は相対的にみて「家」の名残り
  を残しているのかもしれません。
  
  婚姻法第4条には「夫妻は互いに誠実であり、尊重し合わなければなら
  ない。家族成員間では高齢者を敬い幼い者を慈しみ、互いに助け合い、
  平等で仲睦まじい、文明的な婚姻家庭関係を維持しなかればならない」
  とあります。
  
  日本が
  民法第730条「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければ
  ならない。 」
  民法第752条「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」
  で結構事務的に書いてあるのと比べると精神面が書いてあるのが面白い
  です。また「家族成員間では」という制約をつけることで、儒教と共産
  主義との折り合いをはかったようにもみえます。
  
  こういう法律面を別にすると、「孔子家系図」というものがあって
  子孫が200万人いると云われているような面もあるようです。
		孔子家系図についてのニュース

  また、福建省には「客家(ハッカ)」という、大家族の大きな円形の家
  があるのはテレビの紀行番組などで良く紹介されていると思います。
		客家(ハッカ)の紹介

  元々の戸籍制度がどんなものだったか判らないのですが、台湾のものが
  おそらく似ているのではないでしょうか。という事で、次は台湾です。


台湾

  民法の成立は1930年で、台湾は日本統治下でしたが、この民法は
  国民政府が大陸でつくり持ち込んだもののようです。であれば、本来
  の中国の戸籍や家族制度を反映していると考えて良いでしょう。

  ・成年は満20歳以上
  ・婚約は男性満18歳以上、女性満16歳以上。
   結婚は男性満19歳以上、女性満17歳以上。
   直系血族、直系姻族と6親等以内の傍系血族は禁止
   			更に細かく傍系姻族などの制限もあり
  ・養親は養子より20歳以上年長でなければならない。
  			夫婦共同でする場合を除いて養子はひとりのみ。

	婚約についての定めがあるのが特徴的です。
	
	そして、「扶養」、「家」と章があります。
	
	扶養では直系血族、相手の同居父母、兄弟姉妹に加えて、家長家族の
	相互間に扶養義務があります。
	
	そして、家の章では「家とは永久に共同生活を行う目的をもって同居
	する親族の団体をいう。」となってます。なんだか、すごく気合が
	入ってます。「家には家長を置く。同家のものは、家長を除き、等しく
	家族とする。」「親族でなくとも、永久に共同生活を行う目的をもって
	同居する一家のものは、家族とみなす。」と血縁に関係なく家の一員に
	なれ、また「家長は、親族団体の中からこれを推挙して決定する。」と
	長男が家督相続するという考えはないようです。

	「家」はあっても「家督相続」はなく、「相続」は現在の日本と同じ
	ように「家」と切り離されています。
	
	戸籍法は「家」だけでなく「共同事業の所帯」も管理しており、随分
	日本とは趣が異なっています。そして戸籍法の中で「国民身分証」と
	いうものも扱っています。これがあるので戸籍謄本などは普段あまり
	必要とされないようです。


韓国

  こちらも日本統治時代があり、その時代に日本の戦前の家族制度相当
  の法律が制定され、ずっと続いていました。しかし、2005年には
  民法から家と戸主に関する規程を削除し、更に2008年には戸籍法に
  かえて「家族関係の登録等に関する法律」を施行し、個人別の登録
  制度に移行しました。

  ・成年は満20歳以上
  ・婚姻は男性満18歳以上、女性満16歳以上。
   8親等以内の血族は禁止
   			更に細かく制限もあり
  ・尊属や年長者は養子にできない。

  婚姻禁止や養子の規定は少し違いますが、民法上ではそれほど日本と
  変わらないようです。
  
  一方「家族関係の登録等に関する法律」は、出来立てホヤホヤの法律で
  仕組みとしてはコンピュータの利用が前提になってますし、世界最先端
  のものかもしれません。
  
  個人別で登録し、「家族関係証明書」「基本証明書」「婚姻関係証明書」
  「養子縁組関係証明書」「親養子縁組関係証明書」の5種の証明書が
  発行されるとの事。
  
  「家族関係証明書」に記載される家族は、父母、養父母、配偶者、子
  となっており、本人、配偶者、直系血族、兄弟姉妹が請求できます。
  
  2005年の改正前の民法には、韓国特有の婚姻禁止規程がありました。
  「同姓同本である血族の間では、婚姻をする事ができない。」という
  規程です。同本の本とは本貫のことであり、本貫とはその姓の出身地の
  ことです。日本は世界でも、最も姓の種類の多い国ですが、すぐ隣の
  韓国、そして中国は姓の種類の少ない国です。そのため、姓と本貫が
  同じ場合は、血縁のおそれがあるとして婚姻の禁止制限が設けられて
  いたのが民法にもそのまま取り入れられたようです。



国によって色々違うものですね。ところで、何で中国、台湾、韓国の法律が
日本語で説明できるの?と思いませんでしたか。実は、各国語の読み書きが
できるんです。

って言えればすごいのですが、全く駄目です。以前紹介した「戸籍実務六法」
という本に日本語ででています。もっと詳しく知りたい方は、本をどうぞ。