相続の基本的な仕組み

現在の法律では、相続とは財産を引き継ぐものであると、民法の第5編で定められています。不動産という財産としての家は引き継いでも、旧法と異なり、制度としての家を引き継ぐものでははありません。旧法ではこの引継ぎをするのはもっぱら長男でした。現在の法律では、長男に特別な権利はありません。

財産

財産とは、金銭、預貯金、不動産などの正の財産だけでなく、借金などの負の財産も含んでいます。ですから全体としてみたときに負になってしまう場合があります。

(参考:詳しくはメニュー「財産とは」をご覧ください)

相続方法

相続方法には3種類あり、負の財産へ対処する方法(限定承認と相続放棄)もあります。

  • 単純承認
  • 限定承認
  • 相続放棄

相続が開始し、自分が相続人であると知ったときから3ヶ月を熟慮期間といいます。熟慮期間内に限定承認か相続放棄の手続きをしないと単純承認をしたことになりますので注意する必要があります。相続財産の内容の調査に時間がかかるような時には、熟慮期間は、熟慮期間内に家庭裁判所に申し立てることにより伸ばすことが可能です。

単純承認とは正負すべての財産一切を引き継ぐことをいいます。

限定承認とは、正の財産の範囲で負債に責任を負う方法ですが、相続人全員が共同で行う必要があり、手続きも煩雑なため、この方法はあまり使われていません。平成18年の司法統計によると相続放棄が約15万件なのに対し、限定承認は1万件となっています。

相続放棄とは、一切の相続財産の権利を放棄する方法で、単独で行うことが出来ます。相続放棄した時点で、その人は最初から相続人でなかったこととして扱い、その人の分の財産(正負とも)は他の相続人のものとなります。ですから、負の財産が多いという理由でこの方法をとる場合は、単独でできる手続きとはいえ、他の相続人と相談してから行うのが良いでしょう。

(参考:詳しくはメニュー「負債が多かったら」をご覧ください)

相続人

遺言がある場合と、ない場合で、考え方が違います。

遺言がない場合は、法律に従って決められた法定相続人全員による遺産分割協議で分割することになります。遺産分割の割合については、法律上で法定相続分というものが定められていますが、全員の合意がとれれば法定相続分どおりでなくても構いません。法定相続人は戸籍から調べることができます。

遺言は被相続人の最後の意志表示であり、財産を誰に引き継ぐかを自由に指定できます。法定相続人以外でも構いません。ただし、遺留分という、被相続人に身近な一定の人には最低限の財産を確保しておくべきという考えに基づいた法律上の定めがあり、これに反した遺言があっても、遺留分の権利を持っている人は自分の分を請求することができます。

本来ならば相続人になるはずの人が、相続人にあるまじき行為をした場合に相続不可とする廃除相続欠格という定めもあります。

(参考:詳しくはメニュー「遺言がない場合」「遺言がある場合」「戸籍と相続関係図」「遺産分割」をご覧ください)

流れ

このような基本的な仕組みになっているので、相続がはじまったら、まずは遺言・財産・法定相続人の調査をすることになります。その結果により、相続の内容を決め、実際に引き継ぐための手続きに入ることになります。

実際の引継ぎの手続きは、不動産であれば登記をするというように財産によって異なります。

相続税という税金がありますが、控除があるため、実際にはかからない事が多いようです。

各種届出

いわゆる相続以外にも、各種の届出が必要になります。例えば、被相続人が亡くなったという届けを出すものもあり、金融機関の口座であれば口座が凍結されます。他にも、健保、年金、クレジットカード、電気、水道、ガスなどありますので忘れないようにしましょう。

以上が相続の基本的な仕組みです。


法律:民法第5編(882-1044条)に相続に関して定められています。ここだけでも163条あって複雑なのですが、民法中の他の編や他の法律とも関係している条文があります。

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