戸籍のたどりかた/自分でつくる家系図
 
相続・遺言はこちら
トップ > 戸籍のたどりかた   

 本題に入る前に「戸籍」という言葉が本や戸籍の請求書などで2重に意味で使われているので説明しておきます。

 「戸籍」という言葉は「今現在有効な戸籍」のみを意味している場合があります。「今現在有効な戸籍」は「現戸籍」ともいいます。「現戸籍」は「戸籍」の狭い部分になるので、以下の説明では「戸籍(狭)」とします。

 一方、「戸籍(狭)」だけでなく「除籍」「改製原戸籍」も含んだ全体も「戸籍」といいます。以下の説明では「戸籍(広)」とします。

 「除籍」「改製原戸籍」については「戸籍の種類」をご覧ください。

1.戸籍をたどる方法

  戸籍(広)には、通常は他の戸籍(広)とのつながりが記載されています。   これらのつながりを見つけて、その戸籍(広)を順次取得していくこと   が「戸籍をたどる」ことです。自分の戸籍(広)から始めて、これを繰り   返していき、「ありません」と言われるまで取得したら、戸籍で追い   かけられる限界に達したことになります。   ただ、ある戸籍(広)につながっている複数の戸籍(広)がすべて取得   可能なわけではありません。あくまでも、配偶者、あるいは直系尊属、   直系卑属が含まれているものだけです。   そうでないものを請求すると、不審人物と見られてもしようがあり   ません。嘘をいって取得したら、本当に罰金ものです。      戸籍(広)のつながりは、大きく分けると、戸籍(狭)ができたり、除籍   になるという、戸籍(広)自体の消長に関するもの、戸籍は変わらない   けれど人が入ったり、出たりすることに伴うものに分かれます。   このつながりは、戸籍書式の中の戸籍事項欄、身分事項欄、旧書式で   の事項欄、「戸主ト為リタル原因及ビ理由」の欄に記載されています   ので、以下順次代表的な例をしめしておきます。     通常は最低限で1個「戸籍(狭)ができる」時のつながりがあり     ます。     「通常」でないケースとして、2009年に事件がありました。     京都の裁判所書記官の事件でつくられた「馬場」という架空の     人物の戸籍は、おそらく他の「戸籍(広)」とのつながりがひとつ     もないでしょう。記憶喪失を理由にして「就籍」という方法で     戸籍を新規につくったからです。   ・戸籍自体の消長にかかわるもの   (例1)家督相続     「Y年M月D日家督相続」(戸主の事項欄)        あるいは     「前戸主K死亡ニ因リY年M月D日家督相続」                 (戸主と為リタル原因及ビ理由の欄)     家督相続をすると、戸籍のキーである戸主がかわるので、古い     戸籍は除籍になります。したがって、上記の記載がある場合は、     同じ本籍地で前戸主が戸主である除籍が存在することになります。      古いものでは「家督相続」でなく単に「相続」になっている     ものもあります。   (例2)婚姻、分籍     「Y年M月D日編成」(戸主の事項欄、戸籍事項欄)     「Y年M月D日AとX届出BC戸籍から入籍」(身分事項欄)        Xは婚姻か分籍、Bは本籍地、Cは戸籍筆頭者     旧法では戸主の許可を得て婚姻や分家ができましたが、現在の     法律では特に戸籍筆頭者の許可なく籍を分けることができます。     戸籍事項だけでは、前の戸籍がどこになるのか不明です。      婚姻や分籍した人の身分事項を見るとわかります。この     場合は、本籍地がBで戸籍筆頭者がCの戸籍(広)があることに     なります。   (例3)分家     「AAA戸主B弟分家届出Y年M月D日受付」     この戸籍(広)の前は、同本籍地で戸主がBの戸籍(広)となります。   (例4)転籍     「平成20年12月1日東京都港区高輪5番地から転籍届出」     と記載されているならば、同じ戸籍筆頭者か戸主で上記の地番     を本籍とする除籍があるという事です。転籍の場合は、古い戸籍     は除籍簿に異動されますので、狭い意味での戸籍ではありません。      「同一管轄地域内での転籍」があった場合には、本籍地欄の     中で消し線での書き換えがされ、戸籍(広)が作り直されるという     事はありません。   (例5)改製(平6年法改正)     「戸籍改製     【改製日】 平成20年5月5日     【改製事由】平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による     改製」と記載されているならば、現在の戸籍(狭)と同じ戸籍筆頭者     と本籍地の改製原戸籍があることになります。   (例6)改製(昭和23年法改正)     「昭和32年法務省令第27号により昭和33年4月4日改製に      つき昭和37年5月5日本戸籍編成」     この場合は、現在の戸籍(狭)が改製でできたことを示してるので、     同じ戸籍筆頭者と本籍地の改製原戸籍があることになります。     同じ本籍地といっても、同じ管轄地域内で転籍をしている場合は、     その転籍前の本籍地です。   (例7)改製(昭和23年法改正)と転籍     「昭和32年法務省令第27号により昭和37年5月5日本戸籍     改製」     「Bから転籍Y届出昭和38年6月6日」     となっている場合。(例6)と似ていますが、「編成」でなく「改製」     なので、昭和37年5月5日には「改製」されたが「改製原戸籍」     はできていません。この戸籍(広)の前の戸籍(広)は、本籍地Bに     ある同戸籍筆頭者の戸籍(広)です。      では、昭和37年5月5日の「改製」とは何かですが、たとえば     前の戸籍(広)が昭和23年式になってはいるが、戸籍筆頭者とその     母親や兄弟が同じ戸籍(広)にいたというような場合に、母親や     兄弟を独立させて新戸籍(広)を編成することにより、現在の法律に     適合した戸籍(広)に変えたような場合です。      なぜ、前の戸籍(広)が昭和23年式だったのでしょう?それは、     たとえば昭和23年以後に転籍が行われて古い構成員のままで、     昭和23年式書式に書き換えられたからです。   (例8)改製(昭和23年法改正)     (例7)で説明した母親と兄弟の戸籍(広)には以下のように記載     されます。     「昭和32年法務省令第27号により改製昭和37年5月5日     同所同番地ZZZ戸籍から本戸籍編成」   ・戸籍は変わらないけれど人の出入りがあるもの   (例9)婚姻     「Y年M月D日BC長女入籍ス」(家族の事項欄)     「B戸主C長女Y年M月D日Eと婚姻届出同月F日入籍」                           (家族の事項欄)     「Y年M月D日Eと婚姻届出BC戸籍から入籍」(家族の事項欄)        Bは本籍地、Cは戸籍筆頭者か戸主   (例10)養子縁組     「Y年M月D日BC弟養子縁組届出同日受付入籍」(家族の事項欄)     「Y年M月D日X同人妻Zの養子となる縁組届出BC戸籍から入籍」                            (家族の事項欄)        Xは夫、Zは妻、Bは本籍地、Cは戸籍筆頭者か戸主

2.もれなく戸籍をとったか確認する方法

  戸籍(広)と戸籍(広)がつながりを持つ場合、必ず双方の戸籍(広)が   相手の戸籍(広)を指し示すように記載されます。   ですから戸籍をとったら、それらがお互いに相手を持っているかを   チェックしましょう。   持っていない場合に、それが戸籍を取得する制限にかかる場合とか、   保存期限を越えているとか、災害で消失したかなどで、取れない   理由が明確になっていれば問題ありません。   そうでないのに対になっていなかったら、取りおとしていると思われ   ますので取得しましょう。

3.数字、変体仮名、地名

  戸籍を取得したはいいけれど、なんて書いてあるか読めないという   ことが古い戸籍ではよくおきるでしょう。   ・数字:     昭和23年の戸籍法施行規則第1条では、     「年月日を記載するには、壱弐参拾の文字を用いなかれければ     ならない。」と定められています。平成6年以後のコンピュータ化     された戸籍事項証明書は横書きなのでアラビア数字になっています。     より古い戸籍も基本は上記のとおりですが、一部違う文字も使わ     れています。      弐が貮、拾が十、弐拾が廿、参拾が丗になっていることがあり     ます。まず年月日が書かれている場所を探してしまうと、理解し     やすいでしょう。      年月日自体も月の数字が2文字で書いてあれば、どんなに読め     ない文字でも最初の文字は拾しかありえないなどの推定ができ     ます。      なお、番地は壱弐参拾を使えとは定められてないのですが、     使われているものもあります。      ・変体仮名:     昔は女性の名前はカナ2文字となっていることが多いのですが、    なかに漢字のような文字が出てきたら、それは漢字ではなく変体    仮名の可能性があります。変体仮名とは、音のあてはまる漢字を    くずしたものです。これを読むには、本の紹介に書いた「現代書道    三体字典」あたりが手頃な参考書になるでしょう。    本の紹介のページ   ・地名:     ちょっと前にも「平成の大合併」といわれる市町村の合併が行     われましたし、それ以前にもしばしば合併が行われています。     また、明治の頃となると、さらに現在の地名とは異なるものと     なっています。読むのが難しかったり、読めても現在のどこの     役所に依頼したら良いのかわからなかったりします。      一部の文字が読めたら、ある程度あてずっぽうで他の文字も     含めてインターネットで検索すると出てきたりします。      また、違う方法として、地名に関する辞典にあたるという方法も     あります。      どうしようもない時は、戸籍をとった役所で聞くという方法も     ありますね。そういう時は窓口が空いていそうな時にいくように     しましょう。